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モーリス・ベジャール

「ギリシャの踊り」
振付:モーリス・ベジャール
音楽:ミキス・テオドラキス

 地中海に面した港町、マルセイユに生まれたモーリス・ベジャールは、古代より幾多の文明を育んできたこの母なる海に魅せられ、自らを"地中海人"と捉えると同時に、自作の中でもたびたびテーマとして取り上げている。そのベジャールが地中海への憧憬ともいえる思いをストレートに託したのが、1982年にフランスのアルル闘技場で初演した「タラサ、われらの海(ギリシャの踊り)」である。

 万物を生み出した生命の源としての海の、ふくよかな存在を表わすような女性たちの群舞。その上に広がる青い空ときらめく陽光、吹き渡る風を感じさせる、躍動的な裸体の若者たちの踊り。つぎつぎに繰り広げられるダンスは、古代からそこに営まれてきた人間の生そのものをも高らかに謳う。

 「テオドラキスがこの曲をもってきてくれたとき、私はちょうど、「タラサ」と名づけた地中海もののシリーズに取り組んでいた。すっかり感激して曲を受け取った私は、これを最後の部分に使うことに決めた。つづいて踊りの数を9個から7つに減らし、振付の方も、数学的な厳しさで(いくつかの踊りは、バッハのフーガのように構成されている)検討し直した。その結果、このバレエ作品は、――ギリシャ人のいうところによると――ギリシャ色が濃くなったのである。民族音楽からの借用を最小限にとどめ、簡素な衣裳もダンサーたちがスタジオで着用するようなもので、実際のギリシャのどこにも存在していないものを使ったのが、却ってこういう効果をもたらすことになったのであろう」

(モーリス・ベジャール)