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イリ・キリアン

「パーフェクト・コンセプション」
振付:イリ・キリアン
音楽:ヨハン・セバスチャン・バッハ、ジョン・ケージ、レスリー・スタック
装置・照明:ミヒャエル・シモン
衣裳:ヨーク・ヴィセル
【世界初演】

 流れるような動き、繊細な内面世界を描いた詩情にみちた作品を次々に発表し、現在もっとも注目されている振付家キリアンによる東京バレエ団オリジナル作品。キリアンが若いころダンサーとして在籍したシュツットガルト・バレエ団、現在芸術監督として采配をふるっているネザーランド・ダンス・シアター(通称NDT)以外のカンパニーに作品を振り付けたのは、この東京バレエ団の「パーフェクト・コンセプション」が初めてである。

 逆さ吊りにされた樹木のオブジェ、舞台天井に吊り下げられた大きな天秤を思わせるような、ゆっくり旋回する照明塔といった抽象的な舞台装置。胎内音、カラスの鳴き声、グレン・グールドのうめき声の聞こえる「ゴールドベルグ変奏曲」といった、何やら不思議な雰囲気のある音。時には衣裳に、時には小道具にもなる変幻自在な四角い青いチュチュ。これら印象的な道具立ての中を男女2人ずつのダンサーが、細やかな配慮をもって現在の一瞬一瞬を踏みしめるかのように、微妙なニュアンスに満ちた踊りを淡々と演じる。

 『パーフェクト・コンセプション』とは、"完全なる構図"と"処女懐胎"のふたつの意味をもち、またオランダの抽象画家モンドリアンの幾何学的な構図をイメージしたものであるという。

 「われわれ人間の身体の動きも心の動きも、すべていろいろな種類の円、楕円、螺旋、弧を描いているのであり、われわれ人間の整合的な業績や知的概念は歪みのない矩形、線、面によって、ほとんど描出される。これが、「パーフェクト・コンセプション」のイメージである。円い四角と四角い円を発明せんものと試みる、われわれの心躍るような触発的な混乱状態に、これらを全て加えてゆくのだ」

(イリ・キリアン)