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ロングインタビュー2015/04/22

【ダンサー・ロングインタビュー】 第3回-柄本弾

取材/文:新藤弘子(舞踊評論家)

15-04.16_02.jpg 3月の『ジゼル』で、初のアルブレヒト役を好演した柄本弾。力強い動きと落ち着いた演技に加え、ジゼル役の渡辺理恵の儚げな魅力を引き立てるサポートも安定感抜群だった。インタビューは公演前の慌ただしい時期に行われたが、疲れも見せず、響きのいい声でていねいに答えてくれた。

---バレエを始めた頃のことを教えてください。

 兄や姉に続いて習い始めました。小中学校時代は野球やバレーボール、水泳、バスケなどもやっていて、どちらかというとバレエは二の次。真剣にやり始めたのは高校生になってからです。


---何か転機が?

 大阪のバレエ教室の発表会に呼んでいただき、同年代の男子たちと出演したのですが、みんなもういろんな賞を取っていて、めちゃめちゃうまくて、何ひとつ勝てない(笑)。もっと真剣にやらないとバレエでやってくのは絶対に無理だと気づいて、週に8〜9回レッスンするようになりました。真剣になるのがもう少し早ければよかったなと思います。


---東京バレエ団に入るきっかけは?

 発表会やワークショップに高岸直樹さんがよく来られていて、バレエ団を身近に感じるようになりました。他のバレエ団のオーディションも受けましたが、最終的にここに入りたいと思い、決めました。その頃にはもうプロになる決意は固めていました。


---入団して苦労したことは?

 苦労しかないですね(笑)。18歳で入団して、最初の大役が新人公演の『白鳥の湖』のロットバルトだったんですが、緊張するし、衣裳は重いし、最後のリフトが上がらなくて、その夜は悔し泣きして。パ・ド・ドゥの大切さを感じたし、もう絶対リフトは失敗しないようにしようと思いましたね。
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---最近はいろいろな方の指導を受けていますね。

 小林十市さんには、『火の鳥』『ギリシャの踊り』『ボレロ』など、いろいろな踊りをご指導いただきました。振付家と一緒に仕事をしていた方から教わるのはすごく財産になります。マラーホフさんからご自身が長年踊ってきた『ジゼル』を教えていただけるのもラッキーというしかない。去年の『ロミオとジュリエット』はバレエ団初演の作品で主役という初めての経験、しかも初日ということでプレッシャーも感じていましたが、ケヴィン(・ヘイゲン)さんやノイマイヤーさんにたくさんのことを教えていただいて、いい財産になっています。


---プレッシャーや本番には強い?

15-04.16_04.jpg うーん、そういわれるんですけど、前日に本番の音楽が聞こえて眠れなくなることもあるし、緊張はあります。でも幕が上がって舞台に立つと、意外に振り切れるし楽しめる。だから強いっていわれるのかも(笑)。


---『眠れる森の美女』『ジゼル』のような古典は難しいですか?

 難しいです。マラーホフ版『眠れる森の美女』の王子も緊張しました。もともとクラシックの王子より、バジルやソロルのような役が踊りたかったので。流れるように美しくというより、ダイナミックな踊り。さらに好きなのが、力強さを前面に出す、ベジャールさんの作品です。クラシックが嫌いなわけではないけど、自分の踊りのスタイルはそちらの方が合っているような気がして。


---これからどんなダンサーを目指していきますか?

 誰みたいになりたいというのはないんですが、やってみたい作品はあります。三十代半ばくらいになったらオネーギンを踊りたい。で、若いうちにロミオをもう一度踊りたい。それからレンスキーも。東京バレエ団にいるからには、『ボレロ』のメロディにも憧れますし。


---バレエ以外のことも教えてください。いまは一人暮らし?

 はい。帰ったらもう、風呂はいって寝ているくらいで(笑)。入浴剤を入れたり、クエン酸とかアミノ酸とか、回復を促すものを摂取して体をケアする。料理は嫌いじゃないけど、片付けが面倒で。でもこの前は餃子を作りましたよ。皮を買ってきて、餡は自分で作って詰めて。


15-04.16_01.jpg---舞台では自信にあふれて見えます。今年も主役が続きますが、意気込みを聞かせてください。

 そんなことないです、小心者です(笑)。夜寝る前に、あそこ失敗したらどうしよう、とか考えます。ひとつひとつの役にまじめに取り組んで、全力でいい舞台にするしかないですね。あまり先のことを考えても中途半端になるだけなので、何が一番しなきゃいけないことなのかを間違えないように、あとはリハーサルに全力で臨むようにしたいです。


 舞台姿は貫禄さえ漂うのに、受け答えはまったく飾らず、じつに自然体。そんなギャップも柄本の魅力だろう。6月には『ラ・バヤデール』全幕初主演が待っている。力強さに加え、ノーブルさにも磨きがかかってきた柄本に、ソロル役はよく似合うはず。公演がとても楽しみになってきた。

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